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そもそも塩分とは

私たちが普段使う「塩分」とは、そもそも何を指しているのでしょうか。塩分は、しょっぱいと感じる味覚の「塩味」とイコールではありません。食品の中に含まれる「食塩」を指し、塩化ナトリウムを主成分としています。
ナトリウムは、健康維持に欠かせない必須ミネラルのひとつですが、摂取が過剰になると、高血圧などの生活習慣病を招きやすくなります。
塩分の摂りすぎを控えたほうが良いとされる理由は、このナトリウムの過剰摂取を防ぐためです。
では、健康維持を考えるうえで、適切な食塩摂取量の目安はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省は、1日の食塩摂取量の目標値を、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満としています。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
しかし、日本人の平均食塩摂取量は1日あたり9.8gで、男性は10.7g、女性は9.1gとなっており、目標値を上回っているのが実情です。
出典:厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査」
塩分を摂りすぎるとどんなリスクが?

塩分の過剰摂取が原因となり得る疾患や症状には、次のようなものがあります。
・高血圧になる
・むくみにつながる
高血圧は、長期的な塩分過多が原因のひとつとなり、むくみは一時的な塩分の摂りすぎが影響します。一時的な塩分過多による影響は、ケアさえすれば短期間で元に戻るものの、塩分過多が長期間続けば、大きな疾患につながりかねません。
高血圧の原因になる
高血圧とは、診察室で測定した際の最大血圧が140mmHg以上、最小血圧が90mmHg以上の状態です。日本人のうち約4,000万人が罹患しているといわれています。
出典:厚生労働省「高血圧」
高血圧の主な原因は、塩分の過剰摂取です。塩分を摂りすぎると、ナトリウムの血中濃度が上昇します。からだにはナトリウム濃度を一定に維持する機能があるため、体内に水分をため込み、ナトリウム濃度を下げようとします。
血液中の水分が増えて血液量が増加した結果、血管に強い圧力がかかることで、血圧が上がるメカニズムです。
高血圧が続くと、血管が硬くてもろくなる動脈硬化が起こります。動脈硬化が進行すれば、脳血管の詰まりや破れが起こる脳卒中をはじめ、心臓の冠動脈が狭くなって血流が妨げられる狭心症、冠動脈に血栓ができて血流が途絶える心筋梗塞などを引き起こすおそれがあります。
むくみにつながる
むくみは、塩分の過剰摂取が原因で生じている場合があります。
むくみとは、からだの水分のバランスが崩れて、皮膚の下に水がたまった状態です。からだにはナトリウムの血中濃度を一定に保とうとする働きがあるため、塩分を摂りすぎると、体内に水分をため込もうとするため、水が欲しくなります。
水を多く飲むと血液量が増加するので、血液から血管への圧力が上昇し、水分は毛細血管の外へしみ出します。本来であれば、余分な水分は毛細血管やリンパ管に吸収されますが、水分が皮膚の下にたまってしまい、むくみが生じる仕組みです。
減塩生活を無理なく続けるコツ【調理編】

減塩を無理なく続けるためには、日々の調理に取り入れやすい工夫から始めることが大切です。ここでは、調理の段階で実践できる減塩のコツを紹介します。
調味料の使用量を調整する
食塩の摂取は調味料からが約7割を占めるため、調味料の使いすぎには十分に気をつけたいものです。調理の際、計量時には目分量ではなく、計量スプーンを使用すると、正確な塩分量の把握につながるので減塩対策に効果的です。
以下に、身近な調味料の塩分含有量をご紹介します。
調味料 | 小さじ1 | 大さじ1 |
濃口しょうゆ | 0.9g | 2.6g |
薄口しょうゆ | 1.0g | 2.9g |
米みそ | 0.7g | 2.2g |
麦みそ | 0.6g | 1.9g |
ウスターソース | 0.5g | 1.5g |
マヨネーズ | 0.1g | 0.3g |
顆粒だし | 1.3g | 3.9g |
めんつゆ(ストレート) | 0.2g | 0.5g |
出典:消費者庁「栄養成分表示を使って、あなたも食塩摂取量を減らせる」
調味料は「かける」のではなく、小皿に出し、料理に「つける」ようにすることで、摂取量を調節できます。
薬味や香辛料、食酢を活用する
塩分を含む調味料を無理に控えれば、「味付けが薄い」「物足りない」と感じて、食事が味気なくなる可能性もあります。そんなときにおすすめなのが、薬味や香辛料、食酢などによる味付けの工夫です。
ねぎ、にんにく、しそなどの薬味、こしょう、カレー粉といった香辛料は、香りや風味がプラスされ、味にメリハリが出ます。
加えて、食酢には、塩味を引き立たせる働きがあるため、減塩に役立つだけでなく、酸味がアクセントになって料理がおいしく仕上がります。
食材の水分を減らす
食材に水分が残っていると、調味料の味が薄まる原因になります。調理前にキッチンペーパーなどでしっかり水けをとり、肉や魚なら塩を軽くふって脱水させることが大切です。
また、「焼く」「揚げる」といった調理法は食材の水分が抜けやすく、調味料が染み込みやすくなります。余分な水分を取り除くことで、香ばしさと食感も生まれ、減塩しながらもおいしい仕上がりが期待できます。
食材の表面にだけ味をつける
食べた瞬間にしっかり味を感じることができると、少量の塩分でも物足りなさを感じにくくなります。食材全体ではなく、表面にだけ調味料をなじませることで、トータルの塩分量を抑えながら満足感を得ることができます。
食材の表面積を増やすと味が絡みやすくなるのもポイントです。煮物のじゃがいもは薄切りに、ごぼうやにんじんなどの根菜類は斜めの薄切りや縦四つ切りにすると効果的です。
また、食塩や調味だれは仕上げにサッとふりかけるか、照り焼きにするなど、味を感じやすい工夫を取り入れましょう。
うま味のある食材を活かす
食塩を控える上では、素材そのもののうま味や風味を最大限に活かすことが重要です。新鮮な食材を選ぶことで、素材の食感や旨みが引き立ち、少ない塩分でも満足のいく味わいになります。
じゃがいもやトマト、かぼちゃ、きのこはうま味成分を豊富に含んでおり、減塩料理に活用しやすい食材です。
また、昆布やかつお節、煮干しなどのだし汁を積極的に活用するのもおすすめです。だしのうま味が塩分の物足りなさを補い、風味豊かな料理に仕上がります。
汁物は具材をたくさん入れる
味噌汁やスープなどの汁物は、塩分過多になりがちな食品のひとつです。具材をたくさん入れることで、器に注ぐ汁の量が自然と少なくなり、摂取する塩分量を抑えることができます。
野菜やきのこ、海藻類を加えると素材のうま味が溶け出し、少量の塩分でも満足感を得やすくなります。
減塩生活を無理なく続けるコツ【献立編】

調理の工夫に加えて、献立の組み立て方を意識することも、無理なく減塩を続けるための大切なポイントです。1日全体の塩分量をコントロールするために、献立づくりの工夫を取り入れましょう。
塩分の多い食品は控えめにする
塩分の多い食品として、漬物や加工食品(ハム、ベーコン、ちくわ、かまぼこなど)が挙げられます。また、ラーメン、うどんなどの麺料理の汁にも塩分が多く含まれています。
「漬物や加工食品を食べすぎない」「漬物は、塩分が少なめの浅漬けを選ぶ」「麺料理のスープをすべて飲まない」といった工夫で、食品からの塩分をカットしましょう。
汁物は1日1食にする
味噌汁やスープには多くの塩分が含まれているため、1日に摂る回数を1食分にとどめるのがおすすめです。3食すべてに汁物をつけると、それだけで1日の塩分摂取量が大幅に増えてしまいます。
汁物の代わりには、お茶や白湯といった塩分を含まない飲み物を取り入れると良いでしょう。水分補給をしながらも塩分の摂りすぎを防ぐことができます。
カリウムを含む食材を取り入れる
カリウムは、体内の余分なナトリウムや水分を排出し、血圧を下げる働きがあります。カリウムが含まれる主な食材は、以下のとおりです。
・野菜類:ほうれん草
・果物類:バナナ、アボカド、メロン
・いも類:さつまいも、じゃがいも
・海藻類:干しひじき、刻み昆布
・豆類:大豆、小豆
カリウムは水に溶けやすいので、生で食べる、もしくは汁物やスープといった煮汁を飲める料理にするのが、食べ方のコツです。
外食の際は栄養バランスを意識する
外食が多いと、主食、主菜、副菜がそろった食事を摂る機会が少なくなります。
ご飯やパンといった主食は、エネルギーとなる炭水化物の供給源です。肉料理や魚料理などの主菜はタンパク質、野菜や海藻などを使った副菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維の供給源となり、3つが揃うことで栄養バランスを保ちやすくなります。
副菜が欠ければ、カリウムを摂取する機会の減少にもつながります。また、ラーメンや丼ものを単品で頼んだ場合、塩分過多になりやすいだけでなく、主菜、副菜がないために栄養バランスも偏りがちです。
飲食店によっては、メニュー表に料理の栄養成分を表示している店もあるので、オーダーの際は、塩分量や栄養バランスを考えながらメニューを選択しましょう。
まとめ
塩分の多い食生活を続けていると、むくみをはじめ、高血圧を引き起こすリスクがあります。
減塩は、無理なくできるところから始めるのが継続のコツです。普段の食生活では、「塩分量が多い食品を控える」「薬味や食酢を活用する」「ナトリウムを排出する働きのあるカリウムを摂取する」などの工夫を試してみてください。
無理のない減塩で、健やかなからだを手に入れましょう。