1日の野菜摂取量の理想は?野菜不足を解消する方法

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「簡単な食事ばかりで栄養バランスが気になる…」。そんなときは、毎日の食事に野菜が不足しているかもしれません。野菜を食べる量が少ないと栄養不足を招きやすく、健康に悪影響を及ぼすこともあります。 とはいえ、どのぐらい野菜を食べたら良いものなのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、理想的な1日の野菜摂取量と、野菜に多く含まれる代表的な栄養素をご紹介し、効率的に野菜を摂るためのポイントを解説いたします。

野菜不足解消のために!1日の野菜の摂取量は?

野菜は、健康維持に欠かせない栄養素を豊富に含みます。必要な量を摂ることで、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣に起因するがんや心臓病、脳卒中といった生活習慣病を予防すると言われています。

健康維持を考えるうえで、1日当たり何gの野菜を摂取すれば良いのでしょうか?

厚生労働省は、1日当たり350g以上の野菜摂取量を推奨しています。

しかし実際には、日本人の平均的な野菜摂取量は男性が288.3g、女性が273.6gであるとの報告が出ています。つまり多くの方にとって、野菜は1日当たり60~80g不足している可能性があるのです。

出典:「21世紀における国民健康づくり運動<健康日本21>」(厚生労働省)

出典:「令和元年「国民健康・栄養調査」の結果」(厚生労働省)

350gの野菜摂取量といわれても具体的なイメージが湧かないかもしれません。約100gの目安が、生野菜で大人の両手一杯、茹でた野菜で片手一杯だと言われています。

そう考えると、1日350g以上の野菜を毎日摂ることは簡単ではありません。

不足しがちな野菜にはどのような栄養素が含まれている?

野菜は、健康な体づくりに欠かせないビタミンやミネラル、食物繊維が豊富です。次に、これらの栄養素の主な働きと代表的な食品をご紹介します。

ビタミン

ビタミンは人体に必要な栄養素で、炭水化物をエネルギーに変えるはたらきがあります。ビタミンは体内でほぼ生成できないため、食事から摂取しなければなりません。

水溶性と脂溶性の2種類に分かれ、それぞれ性質が異なります。ビタミンB群・Cといった水溶性ビタミンは、体外に排出されやすいのが特徴です。

一方、ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンは、水に溶けない性質を持ちます。

以下では、主なビタミンのはたらきを見ていきましょう。

ビタミンA

皮膚や目の粘膜を健やかに保ち、暗いところでの視力の維持を助けるほか、免疫を高めて細菌やウイルスの侵入を防ぎます。

抗酸化作用があるβ-カロテンもビタミンAの一種です。抗酸化作用とは、体をサビつかせて老化や病気を引き起こす活性酸素を抑制するはたらきのことです。ビタミンAは、にんじん、モロヘイヤ、かぼちゃ、ブロッコリーなどに多く含まれます。

ビタミンB1

糖質を代謝し、エネルギーに変える際に必要な栄養素です。神経機能を正常に保ったり、皮膚・粘膜の維持を助けたりするはたらきがあります。糖質を摂り過ぎてしまう方や疲労感のある方は、意識して摂取すると良いでしょう。

カリフラワー、ほうれん草などが代表的な食品です。

ビタミンC

肌の弾力を保ち、骨や血管などの構成成分にもなるコラーゲンの生成に不可欠です。強い抗酸化作用や鉄の吸収を助けるはたらきがあるほか、しみ・そばかすを引き起こすメラニン色素の生成も抑えます。

ストレスがかかったときや疲労時には大量に消費されてしまうため、こまめな摂取が必要です。パプリカ、ブロッコリー、芽キャベツなどに多く含まれます。

ビタミンE

優れた抗酸化作用で体に悪影響を与える脂質の酸化を防ぎ、細胞や血管の健康をサポートする栄養素です。血液の循環をスムーズにしたり、ホルモンバランスを整えたりするはたらきもあります。

ドライトマトやかぼちゃなどに豊富です。ビタミンCを一緒に摂取すると、抗酸化作用の相乗効果が期待できます。

ビタミンK

血の凝固に関わる成分で、「止血のビタミン」ともいわれています。骨の形成も助けるため、骨の健康が気になる方は積極的な摂取を心がけましょう。ビタミンKを含む食べ物には、小松菜やほうれん草、モロヘイヤなどがあります。

ミネラル

骨・歯・血液などの構成成分であることに加え、体の調子を整えるうえで重要な役割も果たします。ビタミンと同様、体内で生成できないので、日々の食事から取り入れましょう。

代表的なミネラルとして、歯・骨の形成に必要なカルシウムやリン、塩分の調節に関わるカリウムが挙げられます。ミネラルは不足しても、摂り過ぎても良くありません。カルシウムは不足しやすく、リンは過剰になりやすいので注意が必要です。

ミネラルが豊富な食品に小松菜、ほうれん草、パセリなどがあります。

食物繊維

腸内環境を整えて腸のはたらきを良くするほか、生活習慣病の予防にも役立ちます。

食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。水に溶ける水溶性食物繊維は、糖の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑え、コレステロールを吸着して排出します。水溶性食物繊維が豊富な食品には、モロヘイヤやオクラなどがあります。

水に解けない不溶性食物繊維は、パセリや大根、ごぼうなどに豊富です。繊維質で歯ごたえがよく、満腹感を得られやすいのが特徴です。胃・腸で水を吸収して膨らむためにカサが増し、便通を促します。

野菜不足にならないために!野菜を摂る工夫

毎日の食事で1日に必要な量の野菜を効率的に摂るには、ちょっとしたコツがあります。ここからは、野菜を食べやすくする工夫を3つご紹介しましょう。

加熱して食べる

ボリュームのある生野菜も、加熱するとカサが減ります。茹でる、蒸す、炒めるといった調理方法の工夫で、より多くの量を食べられるはずです。電子レンジを活用すれば、調理の手間も省けます。

また、食べごたえのある大根やにんじんなどの根菜類は、汁物に入れると、効率良く一度にたくさん食べられます。

脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E・Kなどが含まれた野菜は、油と一緒に摂取することで吸収率が上がるのでおすすめです。

いろいろな味つけをする

新鮮な野菜はやはり生のまま、野菜本来のおいしさを味わいたいものです。

そうはいっても、毎日のように同じ味つけでサラダや野菜スティックを食べると、飽きてしまうかもしれません。マンネリ化対策には、ドレッシングやディップの味を変化させることが効果的です。

例えばマヨネーズ・ケチャップ・ゴマだれに無糖か微糖のヨーグルトを混ぜるだけで、さっぱりとしたヘルシーな味わいになります。

旬の野菜の味や香りを楽しみたいときには、シンプルにオリーブオイルや塩・こしょうのみでいただくのもおすすめです。

塩分が気になる方は、塩を控えめにして食酢を加えてみましょう。食酢には塩味を引き立たせるはたらきがあり、減塩効果が期待できます。

作り置きであと一品を心がける

先ほど述べたとおり、1日当たりの野菜摂取量の不足分は平均で60~80gです。その分を補う野菜の量は、おおむね小鉢1個分が目安となります。

毎食一品を一から調理してプラスしようと思えば大変ですが、作り置きしておいたおかずを追加するだけなら、それほど負担にならないのではないでしょうか。

きんぴらごぼうやかぼちゃの煮物、切り干し大根などを一食分ごとに冷凍しておけば、すぐに食事をしたいときに便利です。

また、ほうれん草やブロッコリーは茹でて冷凍しておけば、和え物や炒め物、おひたしなど、簡単な料理の材料にも使えます。

まとめ

ビタミンやミネラル、食物繊維に富む野菜は、1日350gを目安に摂取することで生活習慣病の予防にもつながります。

「調理が面倒」、「野菜が苦手でたくさん食べられない」。そういったお悩みがある方も、調理方法の工夫や味のバリエーション、作り置きなどをすることによって、野菜をより効率的に摂取できるのではないでしょうか。

健康的な体づくりのため、野菜不足の克服に取り組みましょう。